散歩

今日は日曜日、暇ができたのでトレーニングがてら近所を散歩することにした。まずは休み明けてから放課後教室に顔を出していなかったので、挨拶しに行った。日曜日はみな(真面目な人)教会に出払ってしまうので、通りの人通りは少なくなり、少しだけ町が静かになる。ぽかぽか照りつける冬の日差しが肌に心地よい。まだ風は冷たいから陽が翳れば肌寒い。

空の家に着いてみると案の定誰もおらず、午後の陽射しの中、閑散としている。
誰かいないかと近くを通りかかった人に尋ねるとトゥミサーニおじさんが、すぐそこの売店にいると。
そういえばまだトゥミサーニおじさんの紹介がまだだった。
彼は初めて空の家に行ったときにチャーリーさんを紹介してくれた人だ。
当時は脚を骨折しており、がっちりギプスで固められ、脚が鬱血して紫色に変色していた。「これはちょっとやばいですよー。もう一度病院にいって緩めてもらった方が。。。」というと、「そうなんだ足がだるくてしょうがないんだ」と明らかに弱ったという表情で応えていた。
仕事はちょっと何しているかわからない。この近辺ではそういう人はよくいる。
手持ち無沙汰で一日中過ごしてしまう人々。でもチャーリーさんも彼を信用しており、チャーリーさんが不在のときは彼が色々な整備をしたりして手伝っている。いわば近所の何でも屋みたいなものかもしれない。
そんな彼も今年に入り露店を始めたらしく、道端に簡易小屋を建て菓子なんかを売っている。
日本の駄菓子屋みたいなものだ。今日会った時に「商売繁盛してはりまっか?」と聞くと、「ぼちぼちでんな」とグレーは言わない、こっちの人は「繁盛、繁盛、大繁盛」な感じで明らかに成功を謳う。聞くと近所の学校なんかに手作りの菓子を仕出しているんだそうだ。それは、確かに繁盛だ。でも大本の店の棚の方をみると菓子がホントちょっと乗っているだけだったのは今日が日曜日だったからということにしておこう。

空の家の周辺の道は、年明けの大雨でクレバスができてしまっている。それが半年経ってもだれも直すことなく放置されている。これは空の家の周辺に限ったことではなく、よく通る別の場所でも同じ状況だ。





それから僕がこの町で一番嫌っていることである「汚さ」である。そこら中にゴミが散らかっており、そこもかしこも割れた瓶の破片が落ちていて、裸足の子供が怪我をしているのをたまに見かける。タクシーに乗っていても、誰かが下りるたびに乗客が開いたドアからポイポイゴミを捨てる。そのくせ、自分の家はとてもきれいにしたがる。まぁ僕が汚いだけかもしれないが。。。
パセリもゴミを捨てるけどCapetownなんかの綺麗な町をみれば「Oh! Beautiful...」なんて言ったりする。僕は初めこのゴミの町をみた時、ここに住んでいる人は汚いのがいやじゃないんだろうな、と思っていた。でも色々な人と接していくと決して汚いのが好きなのではなく、仕方なくそれに甘んじているところがあることを感じる。仕方ないというのはお金がないから、、、なんていう単純なものではなく、その環境しか知らないから、周りのみんながそうやっているから、誰も教えてくれないから、というもっと根深いものなんだと感じた。

パセリにゴミ問題や美化に対する意識についてかつて聞いてみたことがある。
どうやら地方自治体で予算を出し、学校が拠点となってゴミ拾い運動を推進してはいるようだ。
しかし、これもよくある話、活動まで達することなく、どこかでお金が消えてしまうのだそうだ。
確かに近所でゴミ拾いをしているのは目にしないし、そんな話を聞いたこともない。
こっちの町レベルでは教会がかなり力を持っているので(町内会くらいの力を持っている気がする)、
教会はそういうことはしないの?と聞くとそれはやらないのだそうだ。
「教会は道徳や慈善を教える場だからやってもいいと思うけどな」と言うと、
「まぁ、そうなんだけどね、でも学校がやるべきだよ」と。
僕は彼らと同じキリスト教信者じゃないから詳しくはわからないけど、なんだか彼らの教会には胡散臭さを禁じえない。
誤解のないように言っておくと、「ここ」のキリスト教が、である。
こっちきて感じたのは、日本で出会った、または聞いて知ったキリスト教の人とは全く違う。
異宗教か、と思うほど色々なものが違う。これも地域的な特性なのか、知れば知るほど面白くなる。
もちろん皆が集まりお互いの話を聞いて救済し合い、日々の苦痛から開放されるのはいいことだと思う。
でも、ひとたび教会仲間じゃないと知ればやはり壁ができてしまうように感じるし、広汎な影響力を持つ慈愛は感じない。
結局仲間が集まっただけの集団に過ぎず、それは別に宗教を絡めなくとも成り立つものだと思う。
彼らの他者に対する慈愛を垣間見るのはごく稀だ。まぁこういうのを感じるのも自分がはぐれ者だからなのだろうけど。。。

そんなこんなで、少しでも彼らの意識に訴えることができればな、とトゥミサーニおじさんに吹っかけてみたのだ。
「どうかな、この近辺のゴミを拾って綺麗にし、あわよくば道も自分たちで直してみませんか?ついでに花も植えて明るくしようよ」と。もちろんいつも通り返事だけはいいものをもらえたが、ここからが大変なのです。放って置いたら自然消滅必須ですから。
とにかく、今度までに計画書を作ってちょこちょことせっついていってみようと思う。


南アの理数科隊員仲間から聞いた話では「町が綺麗になると犯罪も減っていく」のだそうだ。空の家周辺ではやることのない高校生が毎日必ずマリファナを吸って放課後を過ごしている。やっぱり見ていていいことではないな、と思う。犯罪の温床になって、そこから生まれた犯罪が誰かを傷つけるかもしれない。写真はトゥミサーニおじさんに案内してもらった細い通りである。ここは仕事から帰る人が必ず通らなければならないのだけど、頻繁に強盗が現れ被害にあう人がいるそうだ。たしかに犯罪者が巣食うにはもってこいの環境なのだ。

今日も横領の話を聞いた。地方自治体に金はあっても有効に使われず、誰かが持ち逃げする。色んなところで何度も聞いたことだ。今回の被害者は近所の住民。途中まで作られたボアホール(電気式の井戸)が放置されていた。ゴミと一緒に。

トゥミサーニおじさんはこうも言っていた。
自治体に何度頼んでもダメなんだ」「町の人にゴミ拾いしてもらうとすると、お金が必要だよ」
この言葉が僕に確信を持たせた。彼らに足りないもの、それは、
「自分の住む場所はまずは自分で何とかする」という自治意識
何よりも大事なのは、お金でも機械でもなく、彼らの自治意識を取り戻すことだと思っている。
今の南アの政府がこの自治意識を奪うような政策をバンバン出していることが、僕には不思議でならない。

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ちなみに職無しです。でも明るくていいやつです。