汚職まみれ

チャーリーさんから聞いた話では、かつて僕の任地では大きな水道管工事が行われ、貯水タンクまで設けられたそうだ。
これが完成すれば近隣住民は水の獲得が格段に楽になる。
しかしもう少しで完成というところで莫大な施工資金が横領され、この計画は流れてしまったらしい。
そして現在の自治体が再び計画を再開しようとしているが、書類の手続きや議論に時間がかかり、既に5年の歳月を経ている。
このことは他の生徒からも聞いている。
パセリにしろ、生徒にしろ、チャーリーさんにしろみんなが皆、これらの不正を嘆き憤りを見せる。

パセリに聞いたことがある。
「どうしてみんなのお金をそんな風に簡単に私欲に使えるのだろうね」
するとパセリは「自分で使うだけじゃないよ、彼らの困っている友達にも分けるんだよ」と。
ちょい待ち!彼と友達じゃない人はどうするのさ!
自分の友達じゃないと助けない。友達じゃない人はどうなってもいい。
ますます彼らの言う友達が分からなくなってきた。
そうして不正で莫大なお金を得た人間が都市に移り、BMWやBenzを乗り回しているのだそうだ。
「警察や監査機関は何してるの?」と聞くと、
たいていの場合コネクションによってもみ消されてしまう、という。
もう最低だ。頼むから少しは他の人のことを考えてくれ、と言いたい。
水が飲めないで困る人の顔が奴らには少しも浮かばないのか?
そんな想像力もない人間がこの国の上の方にたくさん蔓延っているのだとしたら、あまりに悲しい。
日本だってそんないい加減な国に貴重な税金をつぎ込んでいると知ったらいい気持ちはしないだろう。
ホント頼むからしっかりしてくれ。
汚職や不正が途上国の支援を難しくする要因になっているのは言うまでもない。
10出しても本当に必要な人たちに届く頃にはいくらもないんだ。
これでは支援する側としてはあまりに虚しい。

国の汚職の酷さを測る指標にCPI(Corruption Perceptions Index)というのがある。
汚職・不正をどれだけ鋭敏に発覚させられるかという指標で、ある意味その国の政治の透明性を表すものといえるだろう。
Wikiで検索するとマップ上に色分けされた世界地図が出ていて、各国CPIを見られる。
南アフリカを見るとアフリカ大陸の中ではいい方であることが凄い。
これだけ周りで横領、汚職、不正が蔓延っていてましな方とは、、、

一方で先月南アにもこうした汚職や不正を監視するNPO団体(Corruption Watch)が設けられた。
これはインターネットや携帯を使って汚職報告ができるシステムも持っている。
南アフリカも変わろうとしている。そんな南アフリカの今に立ち会えた事を喜ぼう。