Godを信じるか?

というのをこっちに来て5回くらい聞かれた。
南ア全体の割合はどうか知らないが、学校の周りにはクリスチャンがたくさんいる。
ムスリムと半々だという人もあるが、ムスリムにはこっちに来て未だかつてお会いしたことはない。

その度に、
「Godは信じるがおそらくあなたの言っているGodではないと思うよ」
と答えている。

今日も職員室で一人、黙々と採点と模範解答を作っていたら、生徒がやってきて話し始めた。
もう本当に喋るのが好きなんだから、こっちは放っておいても英語の勉強になって助かる。

今日はどっから宗教の話になったかは覚えていないが、いつの間にか例の
「Do you believe in God ?」で口火を切り、
人間は特別だ、人間だけが他の動物をコントロールできるのだ、日本人もクリスチャンか?
など話はどんどん盛り上がった。
初めて出てきたのはサタンとデビルの話だ。
それから予言者の話も出た。

僕は宗教心が強くないので、本気で、
神は絶対だ、人間は特別だ、早死にするのは行いが悪いからだ、祈れば救われる、
とかを信じることは出来ない。
もうこれは僕が長らく生きてきていろんな垢にまみれてしまったからで、
今から考えを変えろといわれても到底無理な話だ。
しかし、他の信念や神を持つ人がどういう世界観を持っていて、
それがどう彼らの生き方や思考に影響しているのかを聞かせてもらうのにはとても興味がある。
宗教の話はあまりしないほうが良い、と言われたりもするが、
僕は「Do you believe in God ?」なんて聞かれたら喜んで話の船に飛び乗る。

今日話していて思ったのは、彼の世界は神やキリスト(善)側と、サタンやデビル(悪)側に明確に分けられていて、
それらに見放されたり取り憑かれたりすることで、彼の運命は決まっている。
すべての事象は神が関与すると。
僕の世界観はこれとはまったく逆で、善と悪は明確に分けられるものではなく、相対的なもので、
しかもグレーの部分や、神自体一人ではなく、性悪の神や善良な神もいるものだと思っている。
また、僕の世界での神様は結構忙しいので、いちいち人間の行いを見ていない。
神様だって自分のことで忙しかったりするのだ。
だからすべての事象に律儀に神が関与しているとは思わない。

また予言者の話になったときは、科学に支配された僕には苦笑いするしかないようなものもあった。
その笑いと共に、僕は思った。僕は明らかに科学に支配されてしまっていた。

僕らはたぶん信じているものについてはこの先、ずっとわかりあうことはないと思う。
でも、結局のところ求めているのは「如何に生き、如何に幸福を得るか」であり、
向いている方向は同じなのかなと思った。