開墾日記

先週の週末と今週末で生徒が持つ畑を見てきた。
僕は農業の指導できているわけではないが、
もう一人の農業隊員の付録として来て欲しいということだったので行ってみた。
先日の日記にも書いたが、彼女はブランコを自分の子供に作りたがっていた女性徒でPrayerと言う。
年齢は僕よりも5,6歳上だろうか、20代の多いこの学校の生徒の中ではとても落ち着いた雰囲気を持っている。
彼女には夢がある。
この学校を卒業したら(現在がLv.4なので今年で最後)自分で農産物や畜産物を作って、生計を立てていきたいという。
旦那さんは現在、別の州で私立公園のガイドとして働いており、先週から今日まで偶然休暇で帰ってきていた。
彼もPrayerの夢に対して協力的で、ゆくゆくは夫婦そろって日本で言う専業農家をやっていきたいそうだ。

南アは西洋から白人が移入したころから大きな農場がメインで国の農業を支えてきている。
白人主導の大農場だ。
今も農業雑誌の農場紹介コーナーや記事を書いているのは白人が圧倒的に多い。
こうした大農場がほとんどのため、日本の「農家」というものをこっちに来て見ていない。
自家栽培や露店販売用程度のものは見かけるが、それで生計を立てているというわけではない。
こうした状況の中、僕の学校の生徒達は夢が大きい。
大規模な農場の経営者になりたい、というものだ。
聞いてみてもその間のプロセスについてはビジョンを持っていない。
もちろん大きな夢を持つことはとても重要だと思う。
しかしそれに皆がなれるわけではない。
経営者が一人いれば雇われる側は数十から数百は必要となる。
だから彼らの夢はそう簡単なものではない。
しかも、基本的にこの国の資本は白人層に今でも偏っているので、
教育水準でも劣る僕の学校の生徒が経営者となるのはさらに難しい。
彼らはどうしたらいいのだろうか。

それのヒントがPrayerのやろうとしていることにある気がする。
彼女は現在Mukhudzuという田舎町に住んでいる。
土地は自分の家の分しかないので、
Frankという気のいいおじさんに土地を借りて、そこで細々と農業をやろうとしている。
大規模なものを考えるのではなく、まずは小さく、まるで日本の農家のようにやっていこうと言うのだ。
そして農業の傍ら鶏も飼って売るのだそうだ。
土地の面積は30aくらいだろうか。畑の写真などは写真を撮るの忘れたのでそのうちに。
川のほとりにあり、水はそこから汲んで使っている。
川と言うより沼といったほうがよい。
一帯が葦原になっていて、少し泥を掘らないと水は出てこない。
畑には既にニンジンやほうれん草、トマト、キャベツなどが植わっているが、
ほうれん草(日本のものとは違う)くらいしかまともに育っているのはない。
今日も行ってみると畑にフランクおじさんがいた。
今日は一人なので農業指導は出来ないが何か手伝ったり話を聞くことは出来ないかな、と思って行ってみた。
やり方について聞いてみると、肥料は基本的に与えていない。
時々鶏糞を使うが、なかなか手に入らないので部分的にしかやっていない。
ということだ。
僕は専門家じゃないから土を見て肥えているとか貧弱だなどと判断は出来ないが、
日本の畑に見る土とはまったく異なることはわかる。
土というより、砂に近い。しかも乾ききっている。

でも、せっかくきたんだから何か出来ないかなと思って聞いてみると、
今ある出来損ないを引っこ抜いて、新たに耕そうということになった。
でも肥料がないと何も変わらないので、何か入れるものはないだろうか、
とあたりを見回すと沼のような川があるではないか。
そういえばナイル川も氾濫して周りが肥沃になったって聞いたなーと思いつつ、
この沼の土も栄養たっぷり入ってそうだな、と感じたので、
これ、入れてみたらどうですか?と聞くと、すぐさま、
「ふむ、それは初めての試みだ、やってみよう」となった。
日中の炎天下の中、フランクおじさんと二人、「暑いね」と連呼しながら、
また、おじさんの人生の話をしながら、「ガールフレンドを紹介してあげよう」とか、
エイズには気をつけなさい、とかいろいろ話した。
フランクおじさんのことはまた後に書こうと思う。
沼の土が肥料になるかは正直わからない。
後で野菜隊員に聞いたら、日本でやってるのは聞いたことないな、ということだった。
あれまー。とんでもないことにフランクおじさん(61)の労力を使わせてしまったよ。
まぁ、あの川は生活排水(うんち入り)も流れているらしいから、
少しだけ期待できるとしよう。

畑仕事が終わって子供たちの遊び場に行ってみた。
畑のそばの川の上流に小さな水溜りがあり、そこが子供たちの遊び場になっていた。
肥やしジュースの中で子供たちが元気よく泳いだり飛んだりしていた。
しかもふりチンで。
写真撮り始めたら川への飛び込みをたくさん見せ付けてくれた。
しし唐振り回しながら。
最後にみんなで撮影、はいしし唐隠してね。ぱしゃ。
隠れてないじゃーん!
はい、トリミング。