仕事がない

南アの失業率25%。これは公式な数字。
でも僕の周りは話を聞いている限り、そんなに少なくないと思う。
日本でも高い失業率が叫ばれて久しいが、南アはもっと過激だ。
田舎に関してはまったくといっていいほど会社というものがないので、
若い人は都市部に流出してしまう。
また農家という選択肢も南アの田舎にはないので、
田舎で働くとしたらタクシーの運ちゃんか、露店の販売員、そのほかは、、、
ない!
しかも露店といってもさほど収入があるとは思えない。
日本の駄菓子屋さんのような儲けだと思う。

先日タクシーで隣になったいい男が話してくれた。
仕事がないから、都市へ仕事を探しに行ってきた。
本当に仕事がないんだよ。

近所の酒場は平日の真昼間から男たちで賑わっている。
いや僕の目には賑わっているというより澱んでいる。
鉄格子の隙間から入る直線の光に照らされたビリヤード台に酒臭い男たちが群れている。
目は不気味な光を帯びながらも前向きな精気は感じられない。
異色の日本人である僕を見ると、
「Now listen, I am great and clever, so you must give me a beer, right?」
と、心の底から「そんなん知るかっ!」と言いたくなる言いがかりを付けてくる。
勘弁してくれ。
と昼間の酒場はこんな大人であふれている。
みな仕事がないのだ。
かといって耕す土地もない。
まさに彼らは社会の狭間で生きていると言っていいだろう。

僕の学校の生徒とて例外ではない。
FETは実践的な職業訓練と謳っているが、
実際は職業に結びつかない。卒業しても就職できないのだ。
別の隊員が調査した結果では37人中2人しか内定がとれていない。
しかもその2人も確実に決まったわけではないようだ。
もの凄い就職難。結局卒業後、別のFETカレッジに再入学する生徒が多い。
そうして年だけとっていくのだそうだ。