まさか柔道!?


まだ外はにぎやかだ。
上空には報道陣や警察のヘリが旋回している。
時々警察の厳つい車両が来ると、道路で騒いでいた奴が路地に逃げ込んでくる。
警察が放つゴム弾の鉄砲が怖いのだ。
当たっても皮膚を破壊するほどではないが、かなり痛いらしい。
また路上に障害物を置いた者を探し出して捕まえているらしい。

ストライキの原因「水が出ない」のでいつも食べてるパスタもパップも作れない。
門のすぐ外の店に食パンを買いに行った。
生徒数人とパセリ、警備員、その他近所の人が数人いた。
今日のストライキの話をまったりと話しているところへパトカーが来た。
ある者は脱兎の如く逃げ出し、ある者はじっと身構える。
僕も無実を証明しようと今までの動作の流れ、じっと座っていること、を続けた。
4人の警察官のうち3人は逃げた奴を追いかけた。
残る一人は僕らのほうにやって来て、おどおどして今にも逃げたそうにしている青年に銃を向け取り押さえた。
が、ひとたび警官が銃をしまうと青年は必死に暴れ始めて逃げようとする。
その拍子に銃がガンホルダーから床に落ちる。
(うぉー早く拾ってくれ・・・)
警官はあわてて拾う。
その時もう一人の警官が戻ってきて二人がかりで青年を押さえ込んでパトカーに連れて行く。
それでも無罪を主張し、逃げようとする青年に大外刈りのような技で冷静に対応。
その間みなじっとしてその光景に見入っている。
あっという間に青年はパトカーに放り込まれた。
こっちのパトカーって簡単に放り込めるようになのか、後ろがかぱっと開き大きな空間になっている。
彼を乗せたパトカーは寂しそうな彼の最後の主張をこぼしながらドナドナ去っていく。

去った後、何事もなかったようにまた話が始まる。
彼、無罪なのにね。。。とか。
え!?無罪って知ってたのにだまってたの!?
不思議だ。彼が無罪と分かっていても誰もそれを警察に話すことはしなかった。
ただじっと私は関係ありません。という体で。
日本であれば警察に事情を話すとか一緒にパトカーに乗って警察署で事情を説明するだろう。
でもここではそんなことはしない。
はまだこういった習慣に慣れないでいる。
先日も町で2対1で殴り合いの喧嘩があったときに、周りの人間は誰も止めようとせず、笑いながら見ているだけ。
その後一人で戦っていたほうがノックアウトされ、地面に倒れた。
それでも殴ったり蹴ったり。しばらく続いたが、誰も止めに入らない。
怖い。こういう状況は凄く怖い。
自分が巻き込まれても誰も助けてくれないんだなと思ってしまう。
親しい人には優しいが、一緒の町に住んでいる人に対してはとても冷ややか。
いや、そもそも助けにいける雰囲気でもないのだ。
日本以上にとんでもない輩がたくさんいるので、助けることで自分が危うくなる可能性が高い。
そう考えると、一般人が喧嘩の仲裁に入れる日本はとても穏やかなで健全な国なのかもしれない。