消えた消しゴム

語学学校で消しゴムがなくなった。

日本と違ってあまり消しゴムを持っている生徒が少ない。
だから僕が消しゴムを使っていると、友達が自分のものであるかのように静かに借りていく。
こんな風に自然に振舞われると、初めは僕の消しゴムだと思っていたのに、いつの間にか、
「もしかしたら世の中の消しゴムというのは共有物であり皆の物なのではなかろうか?」
と思えてきた。あまりに皆が自然に借りていくものだから。。。

何日かはそんな感じで使われ、時々消しゴムが入れ替わったりしながら、日が過ぎた。
それでも消しゴムはちゃんと僕の元へ帰ってきてくれていた。
しかし、最後の日、僕は授業が終わってすぐ先生と話し始めた。
話し終わり、さて帰るかと見ると僕の机の消しゴムは既になかった。
自分の管理が甘かったと、思った瞬間だった。
この国では、掴んでいたいものはしっかり自分の意思で掴んでなきゃだめなのだ。

先日、学校の先生にペンを貸したら、ちゃっかり自分の胸ポケットに入れていたので、
「これ、返してくれよ」
と言ったら。すっかり忘れているようだった。

彼らがどこまで確信犯的に、これらのことを行っているのかわからない。
でも彼らを見ているとあまりにも自然すぎて、本当に無意識でやってしまっているように見える。
これからもっとじっくり見ていいきたい。