マルバネ村滞在記(生活編)

湯浴み
僕の任地はお湯の出るシャワーがある。
でも近隣に住む家にはシャワーが無い家もざらにある。
Prayerさんの家もそうだ。電気は来ているからお湯は沸かせる。
だからたらい一杯のお湯で湯浴みをすることになる。

一回目にたらいとバケツを渡された時は、どうしたらいいものか戸惑った挙句、体の汚点に要所を絞り洗うことにした。
二回目は、全身を洗うことが出来た。
三回目は余った湯に浸かり、くつろぐことができた。
シャワーより、湯船に浸かりたい僕にとってはいいなぁと思えた。バケツ一杯で案外体は洗えるもの。坊主だし。ただばしゃーっとできないもどかしさと毎日戦うのは辛いか。。。


寝所
寝るところはまだ増築中の部屋だったので屋根はあるものの、
壁が無く、蚊が入り放題。
部屋には何も無く、あるのは一枚のござとろうそくのみ。

なかなか粋な演出であるな、と感心していたら、
ベッドが運ばれてきた。どーん。と。
せんべい布団で慣れた僕は南アのベッドはあまり好きではない。
スプリングのマットレスが敷かれているので、落ち着かない。
かといってせっかく持ってきてくれたベッドを使わないのも、
いやらしいな、と思い、ベッドで寝させていただいた。
食べた後にござに横になって、骨組みが露わになった屋根を見ながら、
「そういえば僕の任地希望はこんな感じのところだったなぁ」
なんて思っていたら、蚊が、ぷすぷす。
おまけになんか黒っぽくて腰の低い蟲が僕の脇をかすめる。
最初のは手で払い、鈍ったところを蝋燭攻め。
蟲とSMするとはついぞ思わなんだ。
二番目は大きい。
むむ、おぬしやるな。
これは鞭(サンダル)が必要じゃ。
で弱ったところをポタポタと。
黒い何かが白いものでコーティングされたお菓子、
ヨーグルトレーズンなるものがあったなぁ、なんて思いながら。
日本にいた頃は腰低い蟲が出ても殺すことはあまり無かった。
なんか放っておいても、負ける気がしなかったのだ。
でも南アは違う。やらなきゃ負ける気がするのだ。

これはトイレの写真だが、この数を見た後だったのでやらずにはいられなかった。
天井にもワシャワシャと張り付いていた。
蟲の研究してたから、ある程度は蟲への抵抗はあったものの、
これにはさすがに小便しながら背筋にくすぐったさを感じた。

先日、日本にいる少し変わった友人から、
「ゴキブリを踏んでしまった。」
というメールが来た。そしてメールで彼はゴキブリを弔うべく、
いくつかの悲哀の短歌を歌ってくれた。そのうちのひとつがこれ。

露濡れる 鳴けない虫の 自己主張

それを読んだとき、
「あぁ、南アに来てそういう蟲を哀れむとか蟲の気持ちになるとかいうことがなくなったなぁ」
と思った。これは南アに充満する空気のせいだろうか。
ちょっとこれはいけないな、と思った。反省。
しかし、彼らのあの腰の低さは見習わないとなぁ。
トイレという狭い空間、しかも便器の内側という、
かなりマニアックな所にあれだけ密集して住んでいるところが、
なんとも謙虚でよろしい。