給料なしのアルファさん

先日先生たちの給料日があったようだが、アルファさんの給料はいまだに出ていないようだ。
うちの職場ではないが、8ヶ月も給料が出ていない人もいるらしい。
それでもみんな生活できるところがここのすごいところ。
平日の昼真っから町の酒場には何人かの男が酒を飲んだり、話していたりする。
職がない人がとても多い。あきらめている人もずいぶんいるのではないか?と思う。
公式の統計では25%の失業率だそうで、実際はもっと多いと無似師さんは無似師節に合わせて言う。
だから昼間の酒場も賑わう。失業率が高いおかげで酒屋は繁盛しているのか?

さて、話をアルファさんに戻そう。
彼の目は極度にたれており、虚ろながらもぼんやりした何かを送りつけてきて、彼の目が何かを訴えるとなかなか抗えない。
不思議な力がある。
昼飯にパンを買いに行こうとしたところ、
「まだ給料出ていないんだ」
と遠まわしに昼飯を要求する。
こっちでは食パンが日本の二斤ほどで80円くらい。
一人では食べきれない。
アルファさんと昼飯を共有(こっちではシェアと言う)することにした。
こっちの人は野菜を嫌ってあまり食べないので、ちょっと意地悪して、庭で採れたほうれん草と小松菜のような野菜とコーンを炒めて、それをおかずにした。
食べないんだろうなぁ、、、なんて思いながら出してみると、最初は手を付けなかったが、最後の方にようやく手を出し、完食してくれた。意地悪失敗だったか。

昼飯のときもやっぱりしゃべるのが好きでずーっと話している。
最初は腹が減っていたせいか口数が少なかったが、一度腹が膨れるとあのたれ目に生気が戻ってベラベラベラベラ。
結構いろんな人のゴシップを声を潜めて話してくれる姿は学生時代一緒に働いていたおばちゃんを思い出す。
でも本当にいろんな情報をもらえるのでこっちとしては嬉しい。
もちろん彼のフィルターが5枚くらい間に挟まれているのだけれど。