ストライキと鶏

今日はムチンバキャンパスはストライキでゲートが閉まったままだった。
ガードの人がゲートのところにいて、生徒が来ても中には入れない。
やることをなくした生徒は少しその場にとどまって、談笑した後帰る。
キャンパス・マネージャー(キャンパスのトップ)もゲートで追い返される。

というのも、今回のストが本部の汚職に関するものだから。
何でも本部のCEOに資金の横領が発覚したというのに、裁判で無罪を勝ち取り、
戻ってきたからだそうだ。それで先生たちは立ち上がったのだ。
キャンパスマネージャーはいわば本部とつながりのある管理職。
だから追い返された。

日本で僕はストライキを経験したことがなかったので、
とても興味があった。
僕の身はJICAに属するので通常通り職員室で仕事をしていると、
Khwidzhiliさんが陽気な踊りと歌を歌いながら職員室に入ってきた。
もうめちゃくちゃに嬉しそうだ。
嬉しさがどう転んでそうなったのか、先日Munisiさんからもらったエロ動画を携帯で見せてくれた。
あの、鼻息荒いんですけど。。。

南アは反アパルトヘイト運動の存在が影響しているのか、でたくさんデモ行進ソングを持っている。
今日Khwidzhiliさんが歌っていたのは、一つは本当に主張を唱える「どっか行っちまえ!」的な内容のものだったが、
もう一つはちょっと文字として残したくないような下品な野次だった。
隣の職員室(職員室は二つある)ではTibonaniさんも楽しそうに踊っている。
なんか先生たちにとってはストライキが一種のお祭りのようである。
Khwidzhiliさんに「午後から州都にある本部で集会があるからお前も来いよ」
と言われて、とても興味があったので「行く行く」言ったら、いろいろ現状を教えてくれた。
その時、少しだけこのキャンパスの経営の仕方に不満を漏らしてくれたのが嬉しかった。
行動を共にすることで情報や考え方、感情を共有できるということが最近わかってきた。

出発に備え、十時あたりからみんな一斉に車を洗車し始めた。
やっぱりお祭り気分だと思う。

僕も今日は早めに仕事を切り上げ、時間が来るまで畑を耕し始めた。
大根とニンジンのために少し深く掘りおこさなくてはいけなくて、
それがまた土が固くて二時間やってたったの二畳ほど。
さて時間が来たので様子を見に行くと、既に先ほど洗車されていた車がない。
もう出発してしまっていた。「置いてかれたー!」ですよ。ホント。
でもそんなもんです。結構いろいろな行事に気軽に誘ってくれるが、
気軽に忘れられる。そんなもんです。いいんです。でもちょっとさびしいです。

しょうがないので畑の続きをするが、
でもたっぷり時間があるので鶏を捌いて食べるか、と。
今回は初の首落としから。自分で殺すのは正直言ってあまりやりたくない。
でも、肉を単なる物として見たくないから、自分で殺す。
生きてるものが肉になる一連をこの目でしっかり見て食べる。
初の首落としは、鶏に申し訳ないくらい、酷かった。
あれでは相当に苦しませてしまったなぁ。
鶏の最後の一撃はとても強かった。こんな小さな体でも断末魔の力は侮れない。
左手に傷をつくってしまった。

今回は捌くのがとても上手いMpacele師匠に指導してもらうことにした。
彼は各臓器の説明を加えて教えてくれる。
今まで三人のやり方を見てきたが、みなそれぞれ違う。
彼の内臓の取り出し法の鮮やかなこと!
初めての僕でもきれいに取り出せた。
まずはcrop(そ嚢)と呼ばれる人間で言う胃のようなものを取り出す。
ここには食べたばかりで未消化のものがたくさん入っているので破かないように先に取り出してしまうのだ。
そして、胸肉としりの間に刃を入れる。すると砂肝が見えるのでそれをずーっと辿り、先ほど取り出したそ嚢との連結部を探る。
そこを掴んで一気に内臓を取り出す。すると肝臓や心臓、一連の腸や分泌器官が一繋がりで出てくる。
肺は別で肋骨の辺りに着いたままだ。
その後は大腸につながっていた排泄部を切り落とし、足を切り落とし、尾羽の油器官を切り落とし、丸焼きの姿が完成する。
内臓も腸などは内容物を扱き出してきれいにして出来上がり。
あとは煮るなり焼くなり。
今回は丸焼きに。醤油があったので甘醤油で照り焼きに。
ご馳走様でした。

そうそう、Mpaceleさんに指導を受けているとき、
「なぜ君はストの集会に参加しなかったの?」と聞いた。
そしたら、
「時間の無駄だ」
との答えが返ってきた。
と、こんな風にストをクールに捉えている人もいた。
ので付け加えておく。