プトジェクトハウス

食べながら帰路についたが、行ってみたい所があったので、道路から外れて村のほうへ入っていった。
道路沿いに看板が出ていた幼稚園である。
夕方のこの時間は村の路地は子供で賑わっている。
鼻水たらして目を輝かせて。
鼻水乾いてカピカピだって気にしない。


彼らは写真を撮られるのが好きだ。
「しゅーと、みー、しゅーと、みー」とニコニコとポーズをとりながら寄ってくる。

行ってみたかったところは村の人に道を聞いても分からなかった。
その代わりに子供を対象にしたプロジェクトの施設があると知り、行ってみることにした。
塀の中に入ると目の前にとても綺麗な建物、落ち着いた淡い青で塗られており、窓や内装も整然としている。

建物のそばに高校生くらいの青年が屯していた。
管理人の代理の人に会うことができたので、少し話を聞いてみたところ、
施設はイギリスから来た男性が管理しているのだそうだ。
しかし、平日はWhite River(隣の大きい町)へ行っているので不在とのことであった。
この施設は子供たちが放課後に集まり、遊ぶ場所として提供されているらしい。
勉強する子供もいるらしいが、先生はおらず自習という形をとっている。
つまり、実質勉強の場ではない。
管理人がいないためか、青年たちはタバコを吸っていた。
日本のコンビニの前みたいな感じかな。
でもその裏側では小、中学生くらいの男女が遊んでいた。
中学生くらいの男の子はやはり格闘技と下ネタと女の子の話が好きで、
ジャッキー・チェンのまねしてくれたり、俺にはガールフレンドが二人いる、と自慢げに語ってくれた。
まぁ下ネタに関してはここに書く必要はないだろう。日本と同じ。
こっちでの格闘技は映画の影響がかなりあり、現実離れしているものを彼らはイメージしている。
そんなこともあり空中で回れるかと聞いてきたので、
回ってあげると、とても喜んでいた。
ロンダートからバク転、宙返りと連続したときの反応はとてもよかった。
このとき気が付いた。子供を集めるのにこれは有効かもしれない、と。
それから自分が数学の先生をやっていると言うと、俺に教えてくれ!ときた。
いいとも、いいとも、いい、いい、いい!

今度また来て管理人の方に会うと伝えてその場を去った。
以前よりFETの現状を見ていて自分の中では、FETでいくらもがいても限界は近いのではないか、と考えていた。
というのも彼らは今までの教育過程12年の中で限りなく考えることを断ってきたのではないか。
と思うからだ。
数学は公式に当てはめるものとしか考えておらず、常に公式は?公式は?と聞いてくる。
近所の小学生の数学を見たことがあるが、先生から満点をもらっているにもかかわらず、
いざ同じ問題を出すと全く答えられない。先生がつけた○(こっちでは○ではなくチェック)だけが虚しい。
小学校教育がどんなものかは今の僕は分かっていない。
いずれ見に行ってみようと思っているが、まだ実現していない。
もっと早い段階、小学生や中学生に計算や図形のイメージを持たせられれば、
どんなにいいことか!放課後の小中学生に数学や科学を教えられればなぁ、と考えていた。
とはいえまだ施設もなければつても殆どない。
はて、と毎日を悶々と過ごしているときにこの出会い。
もしかしたら運に恵まれてるかも知れぬ。