アジの味

パセリと買い物に行った。
冷凍コーナーのところにアジの冷凍が並んでいた。
10尾入って160円。圧倒的な安さ。
しかし南アフリカでアジと出会えるとは。

最近職員室で水産業の話題で盛り上がったことがある。
パセリは水産業にも興味があるらしい。
なんでも彼の夢は持続的で無駄のない農業のようで、
魚の養殖に使った水を農業用水に利用するという、
循環型の農業を最近知ったようだ。
それで興奮して僕らに話を聞かせてくれたのだ。
日本では魚がたくさん消費されているということを知っているので、
日本の水産業のことも聞かれたが、知識不足で大して答えられず。


ただ、魚の食べ方は知っている。
さっそく買って帰って、調理した。
特に手を加える必要はないのだが、
敢えて解凍してから内臓の取り出し方、
三枚下ろしを見せた。

僕らは鶏の捌き方を彼から教わったが魚は逆に教えられる。
交換だ。
それから日本では魚は塩を振りかけて焼くだけの調理法があること、
それからアジも生で食べることを紹介した。
実際にオーブンで焼いていざ食べようとしたら、
「あっ、もう教会に行かなきゃ!」だと。
「冷めたらまずいから今ちょっと齧ってみろ」と言うと、
「熱いのはいやだ」と。
こっちの人は熱い料理は苦手で冷めるまで、
料理を目の前にして待つ。
しかも日本人のようにふぅーふぅーと能動的手段ではなく、
ただひたすら冷めるの受動的にジーっと待つ。

さて結局パセリが食べたのは冷めに冷めきった、
というか腐らないように冷蔵庫に入れていたアジである。
それでもアジの味が気に入ったようで数日後にアジをくれ、
と訪ねてきた。今度はバーベキュースパイスで挑戦するそうだ。

確かに魚はこっちでも巧くマーケットを開拓すればビッグビジネスになりえると思う。
寿司だって黒人は知らないから、高いから食べないだけで、
いざ食べてもらうとバクバク旨い旨いと言って食べてくれる。
もともとフィッシュ&チップスといって白身魚(正体不明)のフライを食べる習慣はある。
もっといろんな種類の魚を入れてマーケットを拡大できるに違いない。
ただ、全体的に新しいものを挑戦する人は少ないので、
新食品の導入にはそれをクリアするそれなりの戦略がないと広まるのは速くはないであろう。



今日の嵐はすごかった。
雷轟々、ピカピカ、バッキュん。
停電で真っ暗だ。村の光がなくなった。