もう一着買いなさい

8/19

今日は久しぶりに生徒が洗濯をしに来てくれた。
というのも休日実家に帰りたいのだがお金がないとの事で、
バイト代を取りに来たのだ。

彼女らが妙な不平を言い出した。
「友達に何を洗っているの?」と聞かれたそうだ。
この意味はそのままの意味で聞かれたのではないと言う。
「あの日本人(僕のこと)はいつも同じ服を着てるんだから洗うものなんてないでしょ?」
と言うことなのだそうだ。
確かに僕は毎日同じセーターを着ている。
と言うのも「欲しがりません、終わるまで」の精神で任期を過ごそうと思い、
衣類は最小限で済ませようと思ってのことで、
ジーンズとセーターは一着ずつでいいかな、と考えていたのだ。
もうすぐ冬も終わるからとのこともある。
あ、でも贅沢しないのは衣類くらいで、食べ物は満足に食べてるし、
本の類も必要であれば買っている。
家には電気水道があって何不自由ない。

彼女らにしてみればお洒落は大事で、
ジーンズは5着、セーターは最低もう一つ、靴もあと二足買いなさい」
とのことだそうだ。
まさか、そんなところまで見られていたとは。
そして南アに来てまでそんなこと心配されるとは思ってもみなかった。
うむ、南アの人はおしゃれですな。

何度も「買いなさい」と念を押され、一通り気が済んだところで、
今回のテストの出来の悪い図形問題について、どこまで理解しているのかを問題を解きながら確認してみた。
テストを採点すればどの程度理解しているとか分かってくるのだが、
やはりリアルタイムで質問をぶつけられるのでこっちとしては弱点を掴みやすい。
彼女らもなるほどと言って聞いてくれていた。

まだ、授業は持っていないが何度か質問を受け説明をしたことがある。
これらのことと、テストの出来から数学力に関して本校の生徒は日本の小〜中学生レベルである。
理解の程度が低い生徒に至っては小学校低学年の程度。長方形の面積すら出せない。
四則計算の意味や百分率が分かっていない。

先生ですら"公式がすべて"の教育法を受けてきたためか、数学はめっぽう弱い。
円柱の表面積の求め方を紙の模型を使って同僚に説明したら、
「Amazing!You are clever.」だって。
日本の教育を普通に受けてきただけなのにこんなに驚かれるってのは、
それだけ南アと日本の教育法に違いがあるということ。
教育が専門でない僕にはどちらがいいのか判断しかねるが、
イメージできて、応用が利くと言う点では日本の教育法の方が使えるのではないかと思う。
今はまだテストの採点に追われているが、授業が楽しみだ。
やるべきことは山積、だからやりがいもある。